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小熊秀雄 [poem]


 小熊秀雄の詩が入るときと入らないときがある。それはあまり体調とか気分と関係ないように思われる。何も読むべき物がないと感じられるとき、本棚で手に取りページを開くと、とても明晰に言葉が伝わり、入り込めるときと、全然受け入れないときがあるのだが、その結果が想定できないのだ。疲れていても元気でも、落ち込んでいても高揚していても入るときには入るし、ダメなときはだめ。教科書を読むように丁寧に解釈すればいいのだろうけれど。いつもお勉強というわけにはいかないから。なぜかジャズの演奏と似ている。よれよれの時にフレーズが冴えたり、明日から休みで元気もりもりのときに練習したようなつまらないことしかできなかったりすることがよくある。
 恥ずかしながらこの詩人もアーサービナード氏にある紙面で紹介されてきちんと知ったのだけれど。今、これほど時代にフィットする詩人は思いつかない。
 彼は逃亡と怠惰を糾弾し、愛と闘争を肯定し、文学の自立をさけんでインテリを鼓舞する。そういえばこれほど知的であることや、学問する者たちが貶められ、無視された時代があっただろうか。マニュアルを作り、あとは考えずに行動することだけで成り立っている社会。これではまるで戦前ではないか。


真に労働としての
智識の行動化のために
もっとも完全なインテリ的であれ
真綿でくるんだ
君の心臓に風邪をひかせろ
歯をもって雷管を噛め、
そして思想を爆発させろ
『君の心臓に風邪をひかせろ』小熊秀雄詩集より

今日はすーっと入ってきたのでおすそわけ。


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ゆき

これはすごい詩ですね・・・。
今の世にリーダーシップを取れるインテリ層はいないのかと嘆いていたけど、小熊秀雄のこの詩は、学問を修得した者への鼓舞ではありませんか。観念の世界から行動へと!
実際に有効に使わないのなら学問に何ほどの価値があるかと。
中野雄さんは、今の指揮者は解説者のような人ばかり、というけど、指揮者の世界だけではないのです。そこら中、評論家ばかりです。
by ゆき (2007-06-08 23:30) 

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