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ハーディング 東フィル マーラー6番 [Classic]


 東フィルオペラシティー定期でダニエル・ハーディングのマーラー6番を聴いた。これを聴くために会員特権で前売りを確保して楽しみにしていた。東フィルにとっては昨年の『2番』以来で、楽員の一人は再挑戦という意味の言葉を口にしていた。そのときの文京シヴィックでの演奏を聴いたのだが、音楽の流れは素晴らしく、感動的だったのだが、たしかに東フィルは彼の細かく深い要求に十分応え切れなかった感があり、演奏者もそういう自覚があったということだろう。こういう団員のいる東フィルが好きである。指揮者に対して不遜な態度をとり続ける在京のオケの話はよく聞くが、とても長いとは言えない伝統にあぐらをかいて可能性を自ら閉ざしてはいないだろうか。話がそれた。
 リベンジを口にした当の奏者がステージに現れたのがよく見えたのだが、いつもの表情とはやはり違って感じられ、緊張と意気込みがこちらにも伝わってきた。ハーディングが現れ、はじめの音までの時間がすごく長く感じられた。こういう緊張には自分は耐えられそうもないと、いらぬ心配をした。(後で聴いたらハーディング氏、あまり体調は良くなかったらしい)
 出だしのザラザラした軍靴のような低音部のリズムと弦の断片的な不安感の提示に一気にマーラーの世界に引き込まれると同時に気分は解放されていく。メジャーオケの響きじゃないかわが東フィルよ!という感動がこの段階でわき起こってまたテンションが上がっていく。興奮したなあ。でもアルマのテーマへの導入のフルート主旋律の部分あたりでリラックスできて音楽を楽しめる理想的な状態に自分を持って行くことができた。あとは自分の親しんだマラ6に新しい響きを上書きしていくことができたのだった。2番目に緩序楽章が来ることも最近慣れてきたので違和感はない。あとは3楽章4楽章とズンズン興奮を高めていく。拍子が代わる箇所を縦横なハーディングのバトンで確認しつつとにかく没入していく。怖い物見たさのような感覚で2回のハンマーを待つのも醍醐味である。このハンマーも自分で指揮を見てタイミングを測ってみるのだが、いつも早めに打ってしまい、オレがたたいていたら大事故だなあとまた余計な心配をするのであった。なかなかコーダが終わらないマーラーであるが、あっという間にフィナーレが来た。最後の音の後の時間のまた長いこと。その成就した瞬間と余韻をハーディングと東フィルと聴衆で共有したのだった。普段人嫌いなのだが、あの一瞬たしかに一体感があったなあ。東フィルと若きマエストロには本当に惜しみない拍手をおくった。この間テレヴィでロイヤル・アルバート・ホールのクリーム(クラプトンです、古いね)のライヴを放送していたのだが、もう必死で頭振っているお兄さんがいて、何ともうらやましかったのだが、マーラー6番っていうのはそういう聴き方をする音楽じゃないのかなと思った。クラシックのヘビメタだよね。マーラーは聴衆には厳格で、私語や途中移動を禁止した最初の人だと言われているが、体をスウィングさせながら、指揮の真似をしながら、または寝ながら聴くことができたらいいなあ。そうだロイヤルアルバートホールの桟敷だったら可能だ。いつかハーディングとマラ6でプロムスに行こう。東フィルとハーディングのいい関係が今後も続きますように。


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ゆき

ハーディングのあの天才ぶりにはもうメロメロです。東フィルもすごく良かったし。今年のベスト1はもう決定かなあ。
by ゆき (2008-02-17 11:51) 

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