Mystrerious #D Selmer short shank Soloist mouthpiece、D の研究 [sax]
我が家に結集した4本のDの勇姿。大型出力管(6CA7かな)のようである。
送られてきた付属のヴィンテージリガチャーと自分のエクスパンダブル(これで比較を進めていく)
セルマー マウスピース ショートシャンク ソロイスト D テナー用である。今これが絶好調。しかもリードはラヴォーズmsである。この組み合わせは現実的ではないと思いこんでいた。もちろんジョー・ヘンダーソンのセッテイングである。だれも彼のセッテイングでは吹けないのだと思っていたのである。今まではこのような狭いマウスピースにフレンチカットの固めのリード(たとえばヘムケ#4)をセットしてダブルリップスでサブトーンを追求してきた。ところが状況が変わった。一つはサックスを吹く時間(練習の)が多くとれるようになったこと。それからサックスの練習ミュートでおもしろがって筋トレしていたら体質が変わってしまったのである。簡単に言うとあらゆるマウスピースが使えるようになって、全部薄めのリードでちゃんと鳴るようになったのである。それなら追求するのはとりあえず相変わらずジョーヘンである。
そこに、(この財政難の折)ある方から思いがけずショートシャンクのDをもう一本譲ってもらえることになり(持っていた1本目も譲っていただいている方です)、しかも今放出できる3本の中から選ばせてもらえることになったのである。何という幸運!
ショートシャンクのD以上のオープニングのものはむちゃくちゃ貴重である。そんじょそこらに無いはずなのだが、このお方は3本も放出できるという。みんな仕方なくC☆くらいの物(これは市場にふんだんにある)をリフェイスして使っているのだが、ショートシャンクをリフェイスするのは危険である。ピッチが狂いやすいようなのだ。私の経験ではピッチが高めになり、音域によって安定しない現象が多く見られるのである。おわかりのようにショートシャンクをネックから抜いていくのは致命的である(半ば抜けちゃった状態ね)。
オープニングEになるとさらに貴重なのだが、サブトーンと普通の音の間のホロートーン(だからジョーヘンの音ね)がかんたんに出せるのは私はDがもっとも適していると思うのだ。Eはふつうにとっても素晴らしいマウスピースだといえる。
おのれの欲深さに罪を感じながらも私は4本のDと一緒に昨夜は実に幸福な眠りについたのである。
それでせっかくだからショートシャンク、今回はDの研究をしてみたい。以前にショートシャンクのレポートはこのブログで行っているが、今回はDだけの巻きである。みんな興味ないと思うケド、勝手に始める。
〈ショートシャンクDの研究と考察、実際〉
① 観察
左から自分のもの、それからA、B、Cと小さなラベルを貼って区別できるようにした。まず、観察した状態であるが、かなり古いはずだが、あまりゴムが焼けていないので保存状態はきわめてよかったことがしのばれる。Cが変色の度合いが深いので保存環境が違っていたか、またはこの個体だけが製造が古い、または天然ゴムの割合が多いといった可能性が考えられる。しかも写真を目視してもかすかにわかると思うが、この個体だけわずかに細いのである。これは2番目の写真のセルマーエクスパンダブルリガチャーを共通に使用したのだが、その止まる位置が他の3個体よりも3mmほど深いのだ。
② 低音域のつながり 自分のDを対照にして他の3個体を比較すると
自分のもの:○ A:◎ B:○ C:◎
となった。自分のもので十分満足しているので、AとCはとんでもなく良いということになる。それにしてもショートシャンクというのは見事にばらつきのない優秀なプロセスによって製造されていたことがわかる。 ブリルハートがそのばらつきによって個性を出していたのとは対照的である。まあこの点でどちらが優れているかは一概に言えない。ホンダNSXとフェラーリを比べるようなものだ。
③サブトーンの豊かさ
自分のもの:○ A:◎ B:○ C:◎
という結果になった。まあ①と同じ結果である。サブトーンの重要さがわかる。
③ 中音域の音質
自分のもの:ややハード A:ソフト B:ややハード C:ソフト
結局サブトーンの成分が多いものほどソフトなのだ。
④ 中音域D(実音C)の個性
自分のもの:パワフル A:ファット B:パワフル C:ファットで倍音が豊か
D(レ)の音は重要である。絶対音感が無くてもコルトレーンのDの音は音色でわかるくらいだ。
ここまでは順調で、どれも素晴らしい。自分のものにない個性を求めるとすればAかCという風に限定可能なのだから。ところが次の結果から様子が変わってくる
⑤ ピッチ(音程)
自分のもの:○ A:◎ B:Ex◎ C:やや高く、音域によってはやや変調あり
という結果になってしまった。自分のDは以前、6本のショートシャンクのなかでもピッチの正確さは無類であったのだが、AとBはさらに安定しているようなのだ。逆にCはやや不安定(誤差の範囲だが)さが見られた。思うに、豊かな音質をもとめてCタイプ(細身)のショートシャンクが作られたが、楽器の音程の向上やアンサンブルのニーズなどによってこの時期、改良が行われた結果が残りの3本ということだとすればわかりやすい。ショートシャンクはロングシャンクの無骨なほどの安定感にくらべればピッチが変化しやすい。これが多様な表現を可能にしているのだから、音程の不安定さはショートシャンクの価値にさほど響かないのだが、リードセクションの一員としては責任がある。おそらくショートシャンクの製造が終わって、復刻さえも出ないのはこれが理由なのではないか。これを正確に作れる職人がおそらくもはやいないし、量産不能だからなのだと思う。選択は混迷を深めてきた。
今日はこれで1日終わってしまった。最後にメッチャ耳がいい友人にジョーヘンのCDの音と聞き比べてもらったのだが、みんな充分ジョーヘンだという(手前味噌だ)。
続きは明日以降。マイナスワンでの録音結果の比較、コンボでの録音結果の比較、野外音楽堂での比較、ライブなスタジオでの比較、デッドなスタジオでの比較。という風に進めていきたいとおもう。実は私は理科系なのだ。
つづく・・・・・・
送られてきた付属のヴィンテージリガチャーと自分のエクスパンダブル(これで比較を進めていく)
セルマー マウスピース ショートシャンク ソロイスト D テナー用である。今これが絶好調。しかもリードはラヴォーズmsである。この組み合わせは現実的ではないと思いこんでいた。もちろんジョー・ヘンダーソンのセッテイングである。だれも彼のセッテイングでは吹けないのだと思っていたのである。今まではこのような狭いマウスピースにフレンチカットの固めのリード(たとえばヘムケ#4)をセットしてダブルリップスでサブトーンを追求してきた。ところが状況が変わった。一つはサックスを吹く時間(練習の)が多くとれるようになったこと。それからサックスの練習ミュートでおもしろがって筋トレしていたら体質が変わってしまったのである。簡単に言うとあらゆるマウスピースが使えるようになって、全部薄めのリードでちゃんと鳴るようになったのである。それなら追求するのはとりあえず相変わらずジョーヘンである。
そこに、(この財政難の折)ある方から思いがけずショートシャンクのDをもう一本譲ってもらえることになり(持っていた1本目も譲っていただいている方です)、しかも今放出できる3本の中から選ばせてもらえることになったのである。何という幸運!
ショートシャンクのD以上のオープニングのものはむちゃくちゃ貴重である。そんじょそこらに無いはずなのだが、このお方は3本も放出できるという。みんな仕方なくC☆くらいの物(これは市場にふんだんにある)をリフェイスして使っているのだが、ショートシャンクをリフェイスするのは危険である。ピッチが狂いやすいようなのだ。私の経験ではピッチが高めになり、音域によって安定しない現象が多く見られるのである。おわかりのようにショートシャンクをネックから抜いていくのは致命的である(半ば抜けちゃった状態ね)。
オープニングEになるとさらに貴重なのだが、サブトーンと普通の音の間のホロートーン(だからジョーヘンの音ね)がかんたんに出せるのは私はDがもっとも適していると思うのだ。Eはふつうにとっても素晴らしいマウスピースだといえる。
おのれの欲深さに罪を感じながらも私は4本のDと一緒に昨夜は実に幸福な眠りについたのである。
それでせっかくだからショートシャンク、今回はDの研究をしてみたい。以前にショートシャンクのレポートはこのブログで行っているが、今回はDだけの巻きである。みんな興味ないと思うケド、勝手に始める。
〈ショートシャンクDの研究と考察、実際〉
① 観察
左から自分のもの、それからA、B、Cと小さなラベルを貼って区別できるようにした。まず、観察した状態であるが、かなり古いはずだが、あまりゴムが焼けていないので保存状態はきわめてよかったことがしのばれる。Cが変色の度合いが深いので保存環境が違っていたか、またはこの個体だけが製造が古い、または天然ゴムの割合が多いといった可能性が考えられる。しかも写真を目視してもかすかにわかると思うが、この個体だけわずかに細いのである。これは2番目の写真のセルマーエクスパンダブルリガチャーを共通に使用したのだが、その止まる位置が他の3個体よりも3mmほど深いのだ。
② 低音域のつながり 自分のDを対照にして他の3個体を比較すると
自分のもの:○ A:◎ B:○ C:◎
となった。自分のもので十分満足しているので、AとCはとんでもなく良いということになる。それにしてもショートシャンクというのは見事にばらつきのない優秀なプロセスによって製造されていたことがわかる。 ブリルハートがそのばらつきによって個性を出していたのとは対照的である。まあこの点でどちらが優れているかは一概に言えない。ホンダNSXとフェラーリを比べるようなものだ。
③サブトーンの豊かさ
自分のもの:○ A:◎ B:○ C:◎
という結果になった。まあ①と同じ結果である。サブトーンの重要さがわかる。
③ 中音域の音質
自分のもの:ややハード A:ソフト B:ややハード C:ソフト
結局サブトーンの成分が多いものほどソフトなのだ。
④ 中音域D(実音C)の個性
自分のもの:パワフル A:ファット B:パワフル C:ファットで倍音が豊か
D(レ)の音は重要である。絶対音感が無くてもコルトレーンのDの音は音色でわかるくらいだ。
ここまでは順調で、どれも素晴らしい。自分のものにない個性を求めるとすればAかCという風に限定可能なのだから。ところが次の結果から様子が変わってくる
⑤ ピッチ(音程)
自分のもの:○ A:◎ B:Ex◎ C:やや高く、音域によってはやや変調あり
という結果になってしまった。自分のDは以前、6本のショートシャンクのなかでもピッチの正確さは無類であったのだが、AとBはさらに安定しているようなのだ。逆にCはやや不安定(誤差の範囲だが)さが見られた。思うに、豊かな音質をもとめてCタイプ(細身)のショートシャンクが作られたが、楽器の音程の向上やアンサンブルのニーズなどによってこの時期、改良が行われた結果が残りの3本ということだとすればわかりやすい。ショートシャンクはロングシャンクの無骨なほどの安定感にくらべればピッチが変化しやすい。これが多様な表現を可能にしているのだから、音程の不安定さはショートシャンクの価値にさほど響かないのだが、リードセクションの一員としては責任がある。おそらくショートシャンクの製造が終わって、復刻さえも出ないのはこれが理由なのではないか。これを正確に作れる職人がおそらくもはやいないし、量産不能だからなのだと思う。選択は混迷を深めてきた。
今日はこれで1日終わってしまった。最後にメッチャ耳がいい友人にジョーヘンのCDの音と聞き比べてもらったのだが、みんな充分ジョーヘンだという(手前味噌だ)。
続きは明日以降。マイナスワンでの録音結果の比較、コンボでの録音結果の比較、野外音楽堂での比較、ライブなスタジオでの比較、デッドなスタジオでの比較。という風に進めていきたいとおもう。実は私は理科系なのだ。
つづく・・・・・・
2009-04-14 15:14
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