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お言葉 天皇マイルス論 [jazz]

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 最近人前で「うれしく思います」って言うのをよく耳にする。だいたいが若者で、中学校の生徒会長が集会で使っちゃたりする(教師はちゃんと指導しろ)。あとは新成人とかね。中年以上で使うのはよほどの人だと思うけど。町内の運動会でおばさんが言っちゃったりする。ていねいな言葉だと勘違いしているんだな。
 この「お言葉」は自分の判断を表明することが出来ない(または恐れ多くて頂けない)とされていた天皇のために宮内庁の役人が作文で使った言葉で、フツーの日本語じゃないのね。正しくは「うれしいです」とか「よかったです」とか「うれピー!!!」ってそう言えばよろしい。まあ皇室の言葉が流行すれば日本国としては本望かもしれないが。
本来不敬として右翼の攻撃対象になるんじゃないのか?。このことと外来(しかも北米だぞ)侵略生物のブラックバスに対して右翼諸君が比較的寛大、いな友好的であることが私は実に不思議である。
 このように戦後、非常に発言を制限され、無味乾燥なお言葉を述べさせられ続けてきた天皇陛下(このばあい昭和、裕仁氏)であるが、もともと言葉や歌(詞)と祭祀によるまつりごとを生業とされてきた方々である。この方々の言語感覚は極めて正確、鋭敏である。予期せぬインタビューなどでは本領を発揮し最高のアドリブを繰り出す。
 もっとも印象に残っているのは記者に自分の戦争責任を問われたときの答えだ。「文学の方面にはくわしくないのでお答えしかねる」と言う意味のことを言われた。この言葉は重い。「文学」という発言が即ち真実や真理、絶対善を意味する事はこの方にとっては自明であったろう。この言葉を翻訳すれば「私はクロでしたけど、戦後それなりにがんばっている」である。もし「そのような政治的判断はしかねる」と答えられたなら「わたしゃ政治利用されただけだ」という意味になっただろうが・・・。実は殉死者が出てもおかしくはない発言だったのである。もっとも当時自分は若造で「何を生ぬるいことを言って」などと思っていたのだが。昭和を生きることで私の文学力も高まったのだ。
 それから印象深いお言葉がもう一つ。お供の者が「雑草」という言葉を使ったとき言われた、「雑草という名前の植物はございません」という発言である。これは牧野富太郎も感動したと思うのだが。人間宣言をしてから幾年月、ついに民草のまえで基本的人権と主権在民を肉声で叫ばれた瞬間ではなかったろうか。 
 コルトレーンは公爵(デューク)に「なぜ練習したことしか演奏しないのか」といわれた。天皇のアドリブはそれに比べればマイルスのワンフレーズに匹敵する。マイルスはジャズの帝王と呼ばれた男であるが、実は天皇はマイルスだったのである。
 民主党に対して天皇陛下を政治利用しているという批判を自民党はよくするようになった。いままで天皇に何も言わせないことで散々政治利用してきたくせに。
 自民党の教育の御用何たら委員になった将棋指し(内弟子の女流棋士と不倫していた)が園遊会で「日本中の学校において国旗を掲げ国歌を斉唱させることが、私の仕事でございます」と得意そうにいったとき「強制はよくないでしょう」という意味のことを現天皇は仰った。いまだにその将棋指しが恥じて自死しないのが不思議である。
 今回は結論はないよ。古文で決まっている最上級の丁寧、謙譲、尊敬語は使用していないがあしからず。
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tamara

「うれしく思います」は、ぞっとする言葉ですが、人間は影響されやすいため、いつ自分が使ってしまうかわからないのが怖ろしい。天皇の「強制はよくないでしょう」というお言葉、胸にしみいりましたね〜。いい人(?)なのですね〜。
by tamara (2010-01-16 22:25) 

herosia

「強制」という言葉は沖縄の集団自決から創氏改名まで過去へと驚異的な力で飛翔します。
by herosia (2010-01-16 22:36) 

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